図書館四方山話その14

 新入生の皆さん、入学おめでとうございます! 例年より早くから咲き始めた桜の花も今日までなんとか持ちこたえ、花吹雪で皆さんを迎えてくれました。
 本日、図書館からは、

 「図書館だよりパピルス新入生歓迎特別号」と「学校図書館利用案内」を配布しました。

 皆さんとの顔合わせは、まだまだ先のことになってしまいましたが、おたよりに目を通しておいてください。会える日を楽しみにしています。

 在校生の皆さん、進級おめでとうございます! 充実した毎日を送っていますか?

 春休み貸出の返却期限は4月10日としていましたが、休校中に学校まで届けに来たり、郵送したりしないでくださいね。学校が再開してから、返しに来てください。それまでゆっくり活用していてください。

 前回、司書は『古事記』を読み返しているとお話ししました。それは、以前、木更津を訪れた際、太田山の山頂で倭建命(ヤマトタケルノミコト、日本武尊とも書く)と弟橘比売命(オトタチバナヒメノミコト)の像を見たことがきっかけです。倭建命が、父の景行天皇に命じられた東征の旅の途中、現在の神奈川県から浦賀水道を渡って千葉県側に進もうとしたとき、海が荒れ、船が波に翻弄されてしまいました。その時、弟橘比売命が自ら海に沈み、荒波を鎮め船は無事に進むことができました。倭建命は、弟橘比売命の死を悲しみ、浦賀水道を一望できる太田山から海をながめ、数日間、去ることができなかったといいます。そこでこの地を「君不去(きみさらず)」と呼び、後に「きさらず」となりました。木更津の地名の語源には、他にも諸説ありますが、『角川日本地名大辞典』や『千葉県君津郡誌』には、この記述があります。そこで、『古事記』を読み返してみたわけです。もちろん、『日本書紀』も併せて確認してみました。

 倭建命は、この後、弟橘比売命を失った海を見ながら鹿野山に登り、そこを根拠地としていた阿久留王を征伐します。(鹿野山は・・・途中で道に迷った時、どこからともなく鹿が現れ、道案内をしてくれたので鹿野山と呼ぶようになったそうです。)

 東征の帰路、倭建命は大和を目前とした能煩野(のぼの)(三重県亀山市)で没しますが、その魂は白い鳥となって鹿野山まで飛翔したとのことです。弟橘比売命の生命をかけての想いに心を寄せ、飛翔したのかもしれません。

 学生時代に勉強で読んでいたのと違って、現地を踏んで、海を眺めて古事記・日本書紀を読み、他にも関連図書を探して調べてみるのは、とても楽しかったです。古事記・日本書紀の記述はわずかですが、そこから想像の翼を広げて、人物像を考えたり、情景を思い浮かべてみたり・・・ひととき現実世界を離れ、ワクワクしました。こんなに年をとってから『古事記』にワクワクするなんて、今まで思ってもみませんでした。学校で習って読んでいた時には、おもしろくなかったのですが、習っていたから、一度読んでいたからこそ、再び手に取ってみようと思ったわけで・・・。学校で学んできたことは、数十年後に活きてくることもあるのですね~。あの頃の古典の先生、伊藤しずえ先生に、今、話したい、話せたらなあと思います。

 という感じで、マイブームは「古典」です。「物語のいできはじめのおや」なる『竹取物語』から読み返しています。何度も読んでよく知っている物語ですが、また違ったおもしろさを感じます。

 そして『伊勢物語』を今読んでいます。これもまた若かった時とは読みが違います。本当におもしろいです。だからこそ、古典は読み継がれてきたのですね。千年以上も人々がおもしろい、おもしろいと思ってきた物語の数々・・・引き続き、再読をしていきたいと思っています。

 参考図書

 『角川日本地名大辞典 12 千葉県』[291カ12]
 『千葉 地名の由来を歩く』 谷川彰英/著 ベスト新書 2016 [092チ]
 『千葉県史跡と伝説』 荒川法勝/編 暁印書館 1990 [092チ]
 『あなたの知らない千葉県の歴史』 山本博文/監修 歴史新書 2012  [092チ]
 『新 千葉さわやか散歩42コース』 山と渓谷社 1999 [092チ]
 『地図で楽しむすごい千葉』 洋泉社 2017 [092チ]