1/20(水)第164回芥川賞・直木賞発表、1/21(木)本屋大賞ノミネート10作品発表と、文学賞関連のニュースが続きました。読書のきっかけとして、文学賞に注目している人もいることと思いますが、12月までで今年度の図書注文はほとんど終了している都合上、この時期、ノミネート作品すべて揃っているというわけではないのですが、図書カウンターにて、所蔵している本を展示しています。展示しているのは、・・・・・・
◆本屋大賞ノミネート作品より5冊◆
*伊吹 有喜『犬がいた季節』[913イ]
*加藤 シゲアキ『オルタネート』[913カ]
*伊坂 幸太郎『逆ソクラテス』[913イ]
*深緑 野分『この本を盗む者は』[913フ]
*伊与原 新『八月の銀の雪』[913イ]
外出自粛で書店をゆっくり見てまわることも難しいですし、緊急事態宣言発出中の現在、閉館されている公共図書館も多いようですので、便利な学校図書館を活用して読書してくださいね。
この中で、私が既読なのは深緑野分『この本を盗む者は』だけなのですが、おすすめです。読後、「おもしろかった~!」と叫んで、ブルブルっと頭を振って、肩をコキコキと回して、「はぁ~」と、現実世界に戻ってきました。フィクションの面白さをたっぷりと堪能できました。やっぱり物語はいいなぁ・・・。みんなにも読んでほしい!
物語の舞台は、読長町(よむながまち)。川にはさまれた小さな町は、普通の書店だけではなく、古書店やおしゃれなブックカフェ、大手のチェーン店など様々な書店が数多くある本の町。その町の真ん中には、「御倉館(みくらかん)」という、私設図書館があります。主人公・深冬(高1)の曽祖父が大正時代からこつこつと集め続けたコレクションは、その娘である祖母のたまきに引き継がれてきましたが、ある日約200冊もの稀覯本(きこうぼん)が書架から消え失せました。たまきは、激昂し御倉館を閉鎖。その後、一族以外は出入り不可、貸出不可となりました。たまきは警報装置を設置しましたが、それは通常のものだけではなかったのです。愛する本たちを守ろうとするあまりに、読長町と縁の深い狐神に頼んで、書物の一冊一冊に、魔術(呪い)をかけたというのです。本の町の本を愛する一族に生まれた深冬ですが、実は本は好きではないのです。(なぜ嫌いになったのかは最後の方に出てきますが、納得の理由)御倉館の管理を引き継いでいる父が入院したため、しかたなく御倉館へ向かう深冬・・・そんなある日、本が盗まれ、たまきがかけた本の呪い(ブック・カース)が発動します。訳も分からずいきなり巻き込まれる深冬。ブック・カースとは?に始まり、様々な謎が出てきます。その謎と謎が結び付き、真相に向けて展開していきます。読後、はじめの方を読み返してみると、「あ~!こんなところに伏線が張ってあったか。」と気づいたりして、「深緑さん、さすが!」と、さらに感動したのでした。私がこの本を読んだきっかけは、本の帯に「森見登美彦氏、推薦」と書かれていたからです。本の帯もなかなか重要なアイテムですね~。
ちなみに、森見登美彦さんの本は最近動きが少ないのですが、『夜は短し歩けよ乙女』や『ペンギン・ハイウェイ』のアニメなら観たことがある人はいるかもしれませんね。『熱帯』で、直木賞候補にも選出されたことがあります。『きつねのはなし』『太陽の塔』『夜行』『有頂天家族』『宵山万華鏡』・・・などなど。私的京都ガイド本『森見登美彦の京都ぐるぐる案内』もよかったですよ~。それから、「竹取物語」の新口語訳もあります。
直木賞受賞作と芥川賞受賞作は、予算の最終調整で滑り込みセーフとなるか!? お楽しみに。