追悼 半藤一利さん

 1月12日、半藤一利さんが90歳で亡くなりました。半藤一利さんは・・・・・・

 東京都出身。東京大学文学部卒業後、文藝春秋社に入社し、松本清張、司馬遼太郎らの担当編集者を務め、雑誌の編集長など歴任。95年に退社後は作家として、近代以降の日本史をテーマに執筆。憲法9条と平和の大切さを次世代に説き続けてこられました。菊池寛賞をはじめ数々の文学賞を受賞されました。

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 図書館には、共著を含め39冊の著書があります。その中でも、自らの体験をはじめて絵本にした2019年出版の『焼けあとのちかい』[210ハ]絵本コーナー(塚本やすし/絵)は、生徒の皆さん全員に読んでほしい絵本です。中学2年の時、東京大空襲を体験し、猛火の中を生き延びた体験を語り、「世界中の子どもたちを二度とあんなひどい目にあわせたくはない!」「戦争だけは絶対にはじめてはいけない」という強いメッセージを発しています。

 中高生向けの新書シリーズ「ちくまプリマー新書」に入っている『歴史に「何を」学ぶのか』[210ハ]と『15歳の東京大空襲』[916ハ]も皆さんに読んでほしい本です。「日本よ、いつまでも平和で穏やかな国であれ。」という半藤さんの願いを胸に、日本の将来を皆さんに託していきたいのです。

 もう一冊、令和の時代に大人になっていく皆さんに、池上彰さんとの対談集『令和を生きる ―平成の失敗を超えて』[210ハ]も読んでほしいですね。中学生の皆さんには少し難しいかもしれませんが、対談ですし、高校生の皆さんには十分読めると思います。

 戦争を体験した方が、次々とこの世を去り、生の声を聴くことが難しくなってきています。半藤さんが、子どもたちのために絵本を作ってくださったのは、本当にありがたいと思っていました。中高生に向けての本ももっと書いてほしかったと、惜しまれます。

 ご冥福をお祈りいたします。