図書館四方山話その17

 昨日6月23日は、戦後75年を迎えた沖縄慰霊の日でしたね。新型コロナウィルス感染防止のため慰霊祭の規模は縮小されましたが、式典の中で県立首里高校3年生の高良朱香音(たからあかね)さんが、自作の詩「あなたがあの時」を朗読しました。高良さんが通う首里高の前身、県立第一中学校では、・・・・・・

 沖縄戦で鉄血勤皇隊として戦場に学徒動員された生徒たち153人が亡くなったそうです。犠牲になった先輩たちの写真を見て、「もし自分がこの時代に生きていれば、友達も亡くなっていたかもしれない」と戦争の恐ろしさを実感したとのこと。

 朗読した詩は、糸満市の壕を訪れた時に感じたことと当時の子供たちが戦争に巻き込まれていった経過を重ね合わせる形で作ったそうです。詩は、今日の新聞に掲載されています。家に新聞が無い人は、図書館で見てください。テレビやネットニュースで見た人もいるかもしれませんね。

 また、ひめゆりの塔の前では、傷病兵の看護要員として動員された生徒や教師136人が命を落とした「ひめゆり学徒隊」の慰霊祭もおこなわれました。友を失くした92歳の女性は、「自分だけ生き延びたという負い目は消えない。」と言います。何十年たっても消えない苦しみを抱えて、沖縄戦を語り継いでこられたそうです。私事ですが、母が子供の頃、空襲で妹を亡くしています。もし亡くなったのが母だったなら、私は生まれていなかったでしょう。戦争を生き延びた人たちが、苦しみや悲しみを背負って、命をつないで、今の私たちが在るのだと思います。

 修学旅行で沖縄に行った皆さんは、事前学習で調べたことや現地で見聞きしたことなど、まだ記憶に新しいことでしょう。直接、体験者の話を聞ける機会はますます減っていきますが、私たちには図書資料があります。映像資料もあります。

 毎年、7月~8月には図書館で「平和への祈り」を展示しています。これは私が司書になってから、ずっと(勤務校が変わっても)続けています。今、昨年から1年の間に蔵書に加わった戦争・平和関連図書の展示をするための準備をしています。国内だけでなく、海外作品のいい本も多々あります。昨年度までの展示のブックリストもあります。夏に向けて、ぜひ1冊でも読んでほしいと思っています。